3種類の新種の深海エビ公表! アカマダラ、サクラ、ピリカイバラモエビ
アクアマリンふくしまと千葉県立中央博物館の駒井智幸博士の共同研究により深海性エビ類の新種3種が公表されました。
(生存個体はなく、現在展示は行っていません。)
アクアマリンふくしまでは、2000年の開館当初から親潮源流域であるオホーツク海の豊かな海を紹介するため、北海道知 床羅臼町沖で生物調査を行っています。2015-2019年に実施した調査で採集したエビ3種が、千葉県立中央博物館の駒井智幸博士と共同研究を進めた結果、5月4日に新種として公表されました(Komai & Matsuzaki, 2022: Zootaxa 5133 (2): 151–181 )。
これまでにも、ラウスツノナガモエビ(2015)、ダイオウキジンエビ(2016)、シラユキモロトゲエビ、シレトコモロトゲエビ、クレナイモロトゲエビ(2019)が同海域の水深500-800mで採集され新種として公表されております。
さらに今回、イバラモエビ属3種が発見されたことで、オホーツク海南西端にあたる知床半島羅臼沖の海域が、想像以上に豊かな甲殻類の宝庫であることが分かってきました。
提唱された標準和名は、今回発見されたイバラモエビの体の特徴を分かりやすく表した名前になっています。羅臼沖の今後の調査研究でもさらに新たな発見が期待されます。
- アカマダライバラモエビ
- ヒメサンゴモエビ科イバラモエビ属
- Lebbeus rufomaculosus
羅臼沖水深800-1200mの刺し網漁や500-800mのエビかご漁で採集されたエビです。体長約10cmで赤色、尾部に赤と白のまだら模様があるのが学名「rufus(赤い)と maculosus(まだらの)」および和名の名前の由来です。
- サクライバラモエビ
- ヒメサンゴモエビ科イバラモエビ属
- Lebbeus subtilis
羅臼沖水深500-800mのエビかご漁で採集されたエビです。体長約9cmで、ツノが細長く、学名「subtilis(ほそ長い)」の由来になっています。また頭部の甲羅や尾部の体色がさくら色であることが「さくら」の和名の由来です。
- ピリカイバラモエビ
- ヒメサンゴモエビ科イバラモエビ属
- Lebbeus tenuipes
羅臼沖水深200-300mのエビかご漁で採集されたエビです。体長は約8cmで、細長い脚を持つこと「tenuis (= 細長い) と pes (脚) 」が学名の由来です。近縁種に比べて細長い脚をもち、きれいなイバラモエビであることから、ピリカ(アイヌ語で「きれいな」)という和名を付けました。