第67号|
わくわく里山・縄文の里の開設
縄文へのあこがれは、時代に閉塞感が漂うと、人々の心に湧きあがります。
すでに高名な哲学者が人類に警鐘をならしています。アクアマリンふくしまが外構部に展開しようとしている縄文時代の環境づくりは、全国にある考古博物館の展示や、縄文の遺跡の人間部落の再現ではありません。それは縄文時代の自然のアクアスケープ*なのです。
世界が「縄文時代」を通過しているはずです。この[わくわく里山・縄文の里]の庭園から世界へ環境メセージを発信します。私たちは福島県の阿武隈の縄文時代の自然環境の再現にチャレンジしています。
人々は全天候型のボックスカルバートの窓(框)から縄文の景観を覗き見ます。約1ヘクタールの縄文の里は、縄文時代の人間環境の再現ではありません。無垢の3000年前の自然環境の再現です。200mのボックスカルバートの終点は、1970年代に絶滅させてしまったニホンカワウソの代理として、ユーラシアカワウソを登場させました。ユーラシアカワウソをご提供いただいたアルペン動物園やユーラシアカワウソの繁殖計画に携わるヨーロッパの友人たちに感謝いたします。
この縄文環境の利用は、環境が安定するまでしばらくは制限つきになるでしょう。縄文時代をテーマにしたイベントは、アクアマリンふくしまの既設の外構域全体で展開します。そのとき、アクアマリンふくしまは水族館という建築の桎梏(しっこく)から逃れることになるでしょう。
アクアマリンふくしまのある小名浜港2号ふ頭の先端部には、既設の「BIOBIOかっぱの里」、「蛇の目ビーチ」、子ども体験館「アクアマリンえっぐ」などの自然体験の場があります。わくわく里山・縄文の里」は、これらに結びつくものとして、全館への導入部と位置付けています。
2014年、先行して「クウェート・ふくしま友好記念日本庭園」を完成させました。この庭園は、阿武隈山地を流下する鮫川の巨石を配した「くずの海」と竹の「くずのトンネル」からなります。ここは全体動線の岐路に当たりますが、すでに、縄文人が食用にした葛をテーマにしています。
さあ、あなたも縄文の里に足をお運びください。
按波様祠(あんばさまほこら)の由来
漁師は漁期になると昼も夜もありません。漁師が示し合わせて夜中に各漁船の櫓や櫂を集めて積み上げて中連縄を張ったり、あとでお神酒をいただく。按波様がお下りになってその港を守ってくれるのだそうです。按波様信仰は、社殿を持つ千葉県稲敷郡の阿波大杉神社起源と言われます。しかし、もともとは社殿などはなく、浜人の必要に応じて不定期におくだりになる神様のようです。頂上に榊を立てたりして漁を休む算段をしました。(「ふくしまの漁民の民俗」より)
鳥居縁起
阪神淡路大震災から20年、淡路国一宮、伊弉諾神宮より被災した大神輿を補修したものと子ども神輿を受贈(平成26年10月16日)しました。このたび、伊弉諾神宮の神明鳥居を縮小したものを、阿武隈の檜丸太で制作し、按波様祠の鳥居にしました。鳥居は、いわき市勿来、蛭田幸男氏の手になるものです。
按波様祠の庭石
いわき市薄磯で被災した遠藤庄一郎氏の邸宅の好間川の庭石を受贈したものです。あんば様の社は薄磯で被災たもので,いわき市平の大國魂神社に保管されていたもので、好間川石との組み合わせはあんば様の日本庭園にふさわしいものです。
縄文広場の宣言
「縄文の時空間」2015
「わくわく里山・縄文の里」の自然環境は、今から3000年以上前の縄文時代に設定しました。人の生活と海山川の自然が調和していたであろう縄文時代の環境を、約200メートルの「洞窟」からながめるという趣向です。ここ縄文の広場の日比淳史(ひび きよし)作品「共存の時空間」とともに、人々の心が洗われるような「縄文の時空間」を創り上げていきます。