館長からのメッセージ

第9回小名浜国際環境芸術祭オープン

アクアマリンふくしまのアート展は、開館の年、2000年の異ジャンルの若手芸術家の参画によるエッグオブアーティスト展にはじまる。当初は、ビエンナーレだったが、2003年の環境水族館宣言を機に、2004年から毎年開催するようになり、今年で第9回になる。小名浜倉庫群の原風景保存運動をかかげ、ニューヨークのSOHOをもじって倉庫SOKOを展示会場として活用してきた。

小名浜倉庫群 小名浜倉庫群

このたびの大津波が、旧5、6号倉庫を真正面から襲い、修理不能になった。原風景として残すべきと思うが、現在では跡形もない。

第9回小名浜国際環境芸術祭は、9月15日から11月11日のロングランで開催する。今年も、館外では、災害を機につくった「がれき座」の大空間を舞台に、野外彫刻がならび、「よみがえれ!私たちの海」をテーマにした大漁旗が秋の大空にたなびく。

大漁旗 大漁旗

館内では、1階のホワイエ壁面には「小名浜魚市場」のタイトルで小名浜の画家、阿部セキさんの油絵の常設展示がある。スロープ壁面では子どもの絵画展・写真展がある。テラスやホールでの盆栽展を開催する。  続くアクアマリンえっぐ会場ではキッズアート展が開催される。これらの環境芸術活動によって、全館が「いやしの空間」になる。

環境芸術活動

葛西臨海水族園の時代から、永年協力して頂いてきた環境芸術家達も、今や日本を代表する芸術家になった。災害から1年半あまり、このたびの環境芸術祭は、地域の人々にとっても、復興にとりくむアクアマリンふくしまにとっても、昨年とは違う意味をもってくるものと思っている。それは、見る人が災害を乗り越えつつあるからだ。
 ところで、館へのアプローチには昨年、「わくわく里山」計画をシンボルにした岩の看板をつくった。私の環境芸術祭の作品でもあった。ここに広大な里山をつくる計画が進捗している。
 一見緑豊かにみえる我が国の生物環境は砂漠化に向かっている。「砂漠に緑を!」「港オアシス・わくわく里山プラン」が、第9回環境芸術祭のシンボルになると信じている。
 最後に、昨年の第8回芸術祭の屋外彫刻のハイライトは、動く彫刻*キネティックアートの大家、伊藤隆道氏の作品展示だった。その作品の一つ、「廻るリング」はアクアマリンふくしまの3階テラスに継続的に展示することをお許しいただいた。アクアマリンふくしまの心臓が鼓動するように、Inspiring Aquariumのシンボルとなっている。
ここに、伊藤氏のご厚意に御礼申しあげる。

アクアマリンふくしま